電子帳簿保存法の索引簿の作り方 — Excel/CSVの列構成、国税庁サンプル、ファイル名との使い分け
電子取引データの検索要件を満たす方法は、大きく2つあります。ひとつはファイル名に取引年月日・取引先・金額を入れる方法、もうひとつが索引簿(さくいんぼ)を作る方法です。索引簿はExcelやCSVの一覧表で、「どのファイルが、いつ、誰との、いくらの取引か」を記録します。この記事では国税庁の作成例に沿った作り方と、ファイル名方式とどちらを選ぶべきかを説明します。
索引簿とは何か
索引簿は、保存している電子データの目録です。国税庁の一問一答では、ファイル名は連番などにしておき、別途Excel等で索引簿を作成して検索できる状態にする方法が、ファイル名方式と並んで例示されています。
ポイントは、索引簿がデータ本体ではなく「探すための表」だということです。PDFは連番で保存し、索引簿の行と連番で結びつけます。Excelのフィルタや並び替えを使えば、日付の範囲や金額の範囲での検索、「取引先×日付」の組み合わせ検索まで満たせるため、ファイル名方式より検索要件を完全に満たしやすいのが特徴です。
国税庁サンプルに沿った列構成
国税庁が公開している「索引簿の作成例」(Excel)は、次の5列です。
| 列 | 入れるもの | 例 |
|---|---|---|
| 連番 | ファイル名と一致させる番号 | 1, 2, 3… |
| 日付 | 取引年月日(西暦8桁か日付型) | 20260921 |
| 金額 | 取引金額(税込・数値) | 110000 |
| 取引先 | 取引先の名称 | ㈱霞商店 |
| 備考 | 書類の種類など任意 | 請求書 |
これに加えて、実務では次の列を足すと後で助かります。
- 登録番号(インボイスのT+13桁)— 消費税の仕入税額控除の確認に使う
- ファイル名 — 連番と別に実際のファイル名を書いておくと、ファイル名方式と併用できる
- 元ファイル名 — 受け取ったときの名前。問い合わせのときに相手に伝えやすい
金額列は数値として入れてください。「¥110,000」と文字で入れると範囲検索(10万円以上、など)ができません。日付も同じで、「2026/9/21」を日付型で入れるか、8桁数値で統一します。
CSVで作る場合の注意
Excelがなくても、CSV(カンマ区切りテキスト)で作れば要件は満たせます。次の形です。
連番,取引年月日,取引先,取引金額,登録番号,ファイル名,元ファイル名
1,20260921,㈱霞商店,110000,T1234567890123,20260921_㈱霞商店_110000.pdf,invoice_0921.pdf
2,20260805,合同会社テックラボ,88000,T9876543210987,20260805_合同会社テックラボ_88000.pdf,請求書.pdf
- 文字コードは UTF-8(BOM付き) にすると、Excelでダブルクリックしたときに日本語が化けません
- 取引先名にカンマが含まれる場合は、その項目をダブルクォート
"で囲む - 月ごとに1ファイルではなく、年度で1ファイルにまとめる方が検索しやすい
ファイル名方式と索引簿方式、どちらを選ぶか
| ファイル名方式 | 索引簿方式 | |
|---|---|---|
| 手間 | ファイルごとに名前を付ける | ファイルは連番のまま。表に1行書く |
| 範囲検索・組み合わせ検索 | 目視や並び替えで代替。ダウンロードの求めに応じれば不要 | Excelのフィルタで完全に満たせる |
| 1書類に複数の取引 | 表現しにくい | 行を分ければよい |
| 抜け漏れの検知 | フォルダを見ないと分からない | 連番の欠番で分かる |
| 向いている規模 | 月数十枚まで | 月数十枚以上、または複数人で管理 |
実務上いちばん楽なのは併用です。ファイル名は「日付_取引先_金額」にし、同じ内容を索引簿にも1行書く。ファイル名で日常の検索を済ませ、調査で範囲・組み合わせ検索を求められたら索引簿を開く、という使い分けができます。どちらか一方でも要件は満たせるので、併用は「保険」だと考えてください。
月次の運用手順(併用の場合)
- 月に1回、受け取った請求書・領収書のPDFを1つのフォルダに集める(メール添付、Webからのダウンロード、スクリーンショットのPDF化など)
- 各PDFの取引年月日・取引先・税込金額を確認し、
20260921_㈱霞商店_110000.pdfの形に名前を付ける - 索引簿に、連番・日付・取引先・金額・登録番号・ファイル名を1行ずつ追加する
- 年度フォルダ(例:
2026年度)の下に月フォルダを作って保存する。索引簿は年度フォルダ直下に置く - 索引簿と一緒に「訂正削除の防止に関する事務処理規程」も同じ場所に置いておく(真実性の要件)
手順2と3は同じ情報を2回書くことになるので、ここが一番面倒です。PDFから3項目を読み取ってファイル名と索引簿CSVを同時に出力できれば、この二重入力がなくなります。
保存期間と、よくある質問
索引簿はいつまで保存するか
電子取引データ本体と同じく、確定申告期限の翌日から7年間(欠損金の繰越がある法人は10年間)です。索引簿がなければデータを探せないので、データと同じ期間残します。
索引簿を後から修正してよいか
索引簿は帳簿書類そのものではなく検索のための補助資料なので、入力ミスの修正は問題ありません。ただしPDF本体は編集しないでください。
会計ソフトに登録していれば索引簿は不要か
会計ソフトの「ファイルボックス」「証憑保存」機能で、日付・金額・取引先を付けて保存し、ソフト側で検索できるなら、それ自体が検索要件を満たすため索引簿は不要です。ソフトに証憑を添付せず、フォルダに置いているだけなら必要です。
ファイル名の付け替えは、手作業でなくても済みます
「電帳法リネーム」は、請求書・領収書のPDFを置くだけで 取引年月日・取引先・金額 を読み取り、20260921_㈱霞商店_110000.pdf の形に一括で付け替えます。処理はブラウザの中だけで行い、ファイルはどこにも送信されません。10件までは無料です。